花火大会の安全性は、大会主催者と花火業者で確保するものであると思います。 大会主催者も安全な花火の打ち上げについて、花火業者に注文をつけても 良いはずです。もちろん専門的な事が多く、なかなか分かりずらいもの事実 です。ここでは、一般的な安全対策や方法を解説してみます。あくまで 一般的な事ですし、花火業者独自の方法やそのロケーションに合った方法が ありますので、その点は注意してください。花火大会の安全対策について 花火業者と話し合うキッカケにして頂ければと思います。
過去の花火事故等を参考にして考えてみますと、花火大会の安全性を脅かす ものは、「黒玉・筒たおれ・手点火・玉の素性・無理・保管玉の保護・新しい 試み・天気に関する事」等ではないかと思います。それぞれの項目について 現在の一般的方法を記載してみますので自分の花火大会では、どうなのか比較 してみたら如何でしょう。







黒玉は当然、その花火玉に火が着かない為、上空で爆発せずに地上に落下する ものです。その原因としては次の2つが上げられます。
1・花火玉が筒から発射された時に、玉の導火線に火が着かない場合
従来より花火玉に火を着き易くする為に、玉の導火線の先端を二また状にナイフ で割り、導火線の火薬に火を着き易くしていました。また、その割った所の 導火線の火薬がこぼれ落ちない様に、火薬を混ぜた溶剤(アセトン等)を つけて使用していました。もちろん今でもおこなっている所もあります。もう一歩 進むと玉の導火線に「着火線」と呼ばれるものを取り付ける場合があります。 これは玉の導火線に細い穴を開けて、その中に着火線(糸や針金に火薬をまぶした もの)を差し込み落ちない様にしたもので、かなり成果を上げているようです。 つまりアセトンにしても、着火線にしても黒玉を減らす為には、手間とお金 が必要な訳です。
2・上空で玉の導火線から玉の内部に火が入らない場合
こんな現象もまれに発生しますが、花火玉の内部なのでここでは省略します。



黒玉は以前に比べれば格段に少なくなっております。が皆無では無いことも確かです。絶対に人が入らないところで 花火をするのであれば災害になる確率は低いとは思いますが、実際はそうはいきません。一昔前は黒玉が発見されました。それは 良かった。で済みましたが、今は一般の人が発見したら大変です。「なぜ黒玉が発生したのに探せなかったか?」という風になって しまいます。黒玉を探したのだが、みつからなかった。では済まなくなっています。どうしたらよいのでしょうか。答えは徹底的 に確認することしかありません。そこで確認が容易にできるように、現場近隣の黒玉が隠れそうなところを無くすのも方法です。 草を刈る、不要なものは撤去するなどを実施すれば、黒玉の確認はもとより、火災の発生も防げます。



黒玉は普通発生しても保安距離を確保した観客席まで飛んでいくことは稀です。また、黒玉が従事者に当たったという 話もあまり聞きません。従事者は保安距離内にいますが、その人数は少なく保安距離の面積からすると従事者にあたる確率は極低率 であると言えます。ところが、保安距離を一歩出ますとどうでしょうか。お客様で一杯です。万一この保安距離を越えてお客様の 所へ黒玉が飛んだ場合が大きな問題になるわけです。黒玉が観客席まで飛んでいく理由は、まず風があります。一概にこれだけ風が 吹くとこれだけ余分に飛んでしまう、というデータはありませんが、黒玉が風下に飛んでいく可能性は否定できません。また、筒が 真っ直ぐ上空に向いていない場合も斜めに飛んでいくという場合があるでしょう。風は分からないし、筒は注意するしかないじゃない か。と思われますが、なにか対策はないものでしょうか。もし必要であれば、風下部だけ保安距離を伸ばすことはできないでしょうか。 10mでも20mでもかなり効果はあります。事故が発生してしまったらおしまいです。









以前より、5号位までのスターマインの花火筒は素縄で筒の上下2ケ所を縛る 事が基本でした。この方法は 、筒を横木等に一列に並べる場合のものです。近年では花火の大量消費や広い 打ち上げ場所の確保が難しくなった事により、花火の筒を木枠等にいれて20ー 30本をひと固まりにして設置する方法が多くなっています。この方法ですと 素縄で上下2ケ所を縛る方法では不安が残ります。何事も起きなければよいの ですが、万一、花火玉が筒の中で開花した場合、素縄が切れてしまうという 心配を持つべきです(縄が切れると当然筒がたおれます)。
対策としては、縄の強度を上げる事が考えられ、鉄枠や荷締めベルトなどが あります。物はなんでもいいのですが、問題はどの程度の強度があるか?という 事になります。荷締めベルトには幅25mmから50mm程度のものまで数種類あり ますが、当然幅の大きいものが切断強度も大きくなっています。細いものでも 素縄に比較すると切断強度は格段にあがりますが、5号の筒を25mmの荷締め ベルトで止めて万一の際に安全か?となると難しい所でしょう。
6号以上の筒は原則として、1本の筒を上下2ケ所を縛るべきでしょう。本来 6号以上とかでなくて、全ての筒をその様にした方が良いのでしょうが、きっと 花火業者の作業は何倍にも増えてしまい、実質不可能です。



筒倒れの事故はあまり発生していないようです。大分荷締めベルトが普及してきております。今回は大玉の筒(6号から10号)に 触れてみましょう。 埼玉県熊谷市・煙火消費実験などから大玉の筒の間隔についてです。間隔は広い方か良いに 決まっていますが、最低どれくらいにすべきか?あくまでも目安ですが、鉄やステンレスの筒で50cm以上、紙や樹脂で1m以上は開けた方が 懸命みたいです。これは1発が筒内開花した場合、隣の筒への影響を考慮したものです。1発が筒内開花し、その衝撃で隣の筒が傾き、なおかつ発射 された場合は最悪です。また、大玉の点火は一つの筒に点火玉をつけ、万一なにかあった場合は次に点火しないことが必要です。筒内開花などが 発生した場合、その時点で消費を中止し、筒場を確認すべきでしょう。









電気点火が万能のような時代になってきましたが、はたして万能なのでしょうか? 従事者への事故は減ってきているようですが、第3者(お客さま)への花火に よる被害は増えているような気がしないでもありません。電気点火によって花火師 が花火現場から姿を消して誰も見ていない筒から、花火が打ち上げられるのです。 もちろん人の命に代えられるものはありませんので、電気点火を否定なんてしません が、若干の不安もあります。従事者を排除するのでなくて、従事者の防護を確実 に行う方向が好ましいのではないか。と感じる事もあります。早打ちの際の防護、 電気点火が使用出来なかった時の点火者の防護、その他監視従事者の防護などを 明確に決めておく必要があると思います。



昨年、電気点火で点火した途端に数台のスターマインが点火された事が発生しました。 点火器か、分配器の異常だろう、との事でしたがそれは豪華なスターマインだったそうです。別に 事故にならないから問題ないのですが、ここには大きな危険が含まれています。予測した以外のことが 突然発生したということです。事故になる一歩手前と言って良いと思います。電気点火器も普及してから 数年経ってきていますので、その整備などの問題が発生する時期なのかもしれません。スターマインの 場合は無理をして電気点火をする必要があるのでしょうか。スターマインの最初の1発が発射される時間を 点火から数秒確保しておけば、問題無く退避できます。大玉や同発などは必ず電気点火を使用すべきとは 思いますが、スターマインについては考えても良いのではないでしょうか。









花火玉の素性とは、この玉はどこそこの工場で作られた玉である。という事だけ でなくて、この玉はこの様にしてこうして作られた。という意味です。本来花火師 は自分で作った花火玉以外は打ち上げませんでした。自分以外の人が作った花火玉 は信用が置けなかったのでしょう。現在は花火師の間で花火玉の売買もかなり 頻繁に行われておりますが、これは花火師間の技術の差が少なくなってきている事 や花火市場の地域的な差などによるものと思われます。それでも花火師は花火玉が 足らないから、どこで作った玉でも使う訳ではありません。やっぱり信頼の置ける 長い付き合いの中から、花火玉の供給元を決定します。国内の製造元は厳しい競争 にさらされてきていますので、花火玉に大きな性能差はないと思いますが、現在 随分多く輸入されてきた中国玉の場合はどうでしょうか。中国玉は日本の 花火師が中国に出向いて日本の技術で製造しているものと、そうでないものとに分 けられます。 前者はかなり良い物ができているという事ですが、後者はなかなか日本に合った 性能の花火は出来ていないようです。ただ前者の場合でも実際製造する工場は 中国にあり、中国人が作っている訳でサンプルは良くても輸入すると、とんでも ないものが入っている。なんていう中国四千年の歴史に苦労している花火業者も あるようです。花火の場合、同じ物を同じ様に製造する事は非常に難しい事なの です。









無理とは、余裕の無い事です。時間に余裕がない。保安距離に余裕がない。準備 に余裕がない。設備に余裕がない。などです。たとえば、4号の保安距離110 mでお客様を規制する場合に、もしできるならば、130mで規制したらどんな 影響がでるでしょうか?20mの分だけ安全率が上がります。花火は寂しくなる とは考えられません。かえって良く見えるのではないでしょうか。 また、110mの保安距離の所で、2.5号玉の筒はどこに置くべきでしょうか。 無理をして前に出す必要は感じられません。ある花火大会の主催者は、花火業者が こうすればもっと良い花火になると、大きい玉や保安距離の縮小(保安距離には 大きな余裕がある)をすすめてもガンとして、聞き入れないそうです。ワンランク 小さい玉で行い、この範囲の中で良い花火をやってくれ。と言っているそうです。 花火業者としても、こんな風に言われては俄然やる気がでてきます。花火業者も 本当は無理が嫌いなのです。主催者の皆様にお願いです。是非無理の競争は業者 にさせないで下さい(花火師は割と乗ってしまう人が多い)。また、無理のない 余裕のある花火大会の立案をお願いします。



花火大会は綿密な計画の元に実施されます。こんなことは当然のことですが、十分な計画のもとに 実施しようとするのですが、花火業者は当日になって「これは少し危険なのではないか?」というケースに遭遇することがあります。 計画の段階で予想することが出来なかった。とも考えられ、花火師はいい加減だな。と言われてもしかたありませんが、 実際にあるのです。あくまでも心配な事、でありほとんどは大丈夫な内容なのですが、心配になってしまうのです。こんな 場合は決定的な解決策が見出せなければ、関連する花火を実施しない方向で対応していただきたいのです。計画通りに 絶対にやりなさい。ではなくて、主催者と業者、その他の関連する人達で相談して「公共の安全を確保する」方向で回避 して頂ければ幸いです。









電気点火の普及、早打ちの減少などで玉置き場を設置する花火現場は少なくなって きているようです。玉置き場は現構造で何ら問題は無いと思いますが、やっぱり 玉置き場は無いに越した事はないでしょう。なにしろ花火玉が筒の中に入って いれば、それだけで一つは安心できます。万一火がついても打ち上がるだけです から。









花火業界では、なかなか新しい試みがありませんが、もしなにか新しい事を実施 する場合は、やっぱりテストを行うべきでしょう。花火のテストを行うという事 は非常に大変な事ですが(場所の問題や許可の問題等)、なんとか花火業者に言 って実施したほうが良いと感じます。その際に重要なことは、実際の現場を想定 している実験であるか。という事でしょうか。あくまでも実際の現場を想定して、 できれば実際の現場を使って行う必要があるでしょう。また花火関係の設備や 機器などもあたらしい物が随分出ています。この辺も十分注意して使用したい ですね(花火業者の範疇ですが)。









やっぱり風と雷雨です。風向きを十分考慮した花火の企画になっているか。花火 大会はほとんど毎年実施する事が多い訳ですから、例年の風向きがあります。風上 の花火から点火していっては、風下の花火に不意に点火する可能性もあります。 煙の流れもあります。また、その日だけいつもと風向きが異なってしまった場合 はなにか対策がありますか?お客様の方に強い風がふいてしまった場合はその方向 だけ保安距離を伸ばすような工夫も必要であると思います。突然の雷雨の場合は、 どうするか。こんな場合も想定して、対策を考慮する必要があります。電気点火 の配線ははずせるか。雷のどの時点ではずすか。雷が去った後の点火はどの様に 行うのか。その際に問題はないか。等であると思います。





非常に簡単ではありますが、以上のような事を中心に花火大会の安全について 花火業者と話あってみては如何でしょうか。きっと一歩進んだ打ち合わせになる と思います。
主催者の皆様のページに戻る