打上花火の作り方は昔からほとんど変わっていません。それは、早い時期に製造方法が確立された事、火薬を扱う作業なので機械化できない事などの為です。ほとんど手作業で作られていく花火。日本の夏の夜空を華やかに演出する花火からは想像もつかない作業が、花火工場では行われています。その製造工程をここでは覗いてみましょう。

花火作りは色々な薬品を配合するところから始まります。決められている配合比通りに薬品を計量し、ふるいを通して混ぜ合わせます。 配合する薬品、金属粉の種類と割合によって光、色、音などが決定される訳です。配合は人の素手でなされる非常にデリケートで慎重さ を要求される作業です。配合の終わった薬品を「和剤」といいます。ひとつの花火に使う和剤の種類が多い程、花火はバラエティに富ん だものになります。


●MPEG・配合作業01(1739KB)/ ●MPEG・配合作業02(1739KB)



花火の玉を空中で割り、花火を大きく開かせるのが「割薬」の役目です。爆薬の一種といっても良いほどの破壊力をもつ危険なものだけに、 その作業には熟練を要し慎重に行なわれます。割薬ように配合した和剤にみじん粉などの糊を入れ、水で泥状にしたものをモミ殻などに塗り 付けて乾燥させます。



花火の出来、不出来を大きく左右するのが「星」作りです。花火師は他のどの部分にも増してこの火薬でつくる丸い玉、「星」に全勢力を注 ぐ事になります。一般的な星作りの方法は小さな芯(菜種の粒や砂粒)のまわりに和剤を何重にもまぶして次第に大きな球形にしていく「星掛け」 という作業です。

和剤は、糊と水を加えた「トロ」と呼ばれる液体と和剤そのものを用意し、トロをかけて星全体をぬらしたうえで、和剤の粉をかけていく作業を 繰り返します。配合の異なる和剤を重ねていけば、星の外側から中心に向かって燃えていくにつれ、色と光が変化していく様を楽しめる訳です。 一度星掛けすると乾燥するまで、次の和剤が掛けられない訳で完成まではかなりの時間を要します。 星はひとつひとつの仕上がりと同時に、全ての粒が揃っている事が必要です。そこではじめて、花びらがいっせいに色を変え、一瞬のうちに すべてが消えるという花火の醍醐味が味わえるのです。星掛けは日本独自のもので、星が色を変化させながら飛び散る楽しさは日本ならでは の繊細な技術なのです。


●MPEG・星掛作業01(1739KB)/ ●MPEG・星掛作業02(1739KB)
●MPEG・星掛作業03(1739KB)/ ●MPEG・星乾燥風景(1739KB)

最後の写真は、星が段々大きくなる過程を撮影したものです。左の粒から一番右の粒に「星掛け」「乾燥」を繰り返して段々大きくしていきます。 2番目の星の色が他の星と異なるのは、ここで燃焼色の違う火薬を掛けている訳です。たとえば、星1ツで紅の炎から青の炎に変化させる事が出来 る事になります。これは日本の花火の特徴で、日本特有の技術という事になります。日本の花火は花火玉の中の構造をどんな風に工夫するか。に加 えてその花火玉を構成する星の構成をどう作るか。という高い技術に支えられたものなのです。







花火の容器になるのが玉皮です。現在玉皮は、専門の玉皮屋さんがありほとんどの花火業者でそこから購入しており、ダンボール紙の様な 材質で成形で作られます。半球状の玉皮を2つ使用し、玉を構成します。2つの玉皮の1つに親導(導火線)をとりつけます。親導は筒の 中で発射薬が爆発した時に、その火を拾い、玉が上空に完全に昇りきったところで花火玉の中の割薬に火が届く様に計算されたタイムスイ ッチの役目を果たす導火線です。




花火を構成する部品が揃ったところで、いよいよそれらを組み立てる玉込めです。割物でしたら、まず玉皮の内側に沿って星をきっちり隙間 無く並べます。さらにその内側に薄い和紙を敷いてなかを割薬で一杯にし、板で軽く押さえて玉皮の高さにあわせます。こうして2ケの玉皮( 1ケは導火線付き)に必要なものが詰まったら、両手に持ち、すばやくぴったりとあわせます。静かに外側をたたいてなじませたら、合わせ 目を紙テープ等で貼ってしまいます。






花火作りの最後の工程が「玉貼り」です。玉込めで作ったものにクラフト紙を貼っていきます。ただ貼るだけでなく、破裂時の圧力が 玉の表面のどの点にも均一にかかる様でないと、星を均一に飛び散らせて真球形の花を描く事はできません。貼りと乾燥が何回も繰り 替えされ、その間に紙と紙の間に残る空気を追い出し、紙を密着させるコロ掛けも重要な作業です。木の板で玉を押さえる様にしてゴ ロゴロまわすのは大変な作業で、真冬でも汗をかく程です。丁寧なコロ掛けの施してある玉は、中身の確かさを証明するあかしでもあ ります。

完全に乾燥ができて、製造年月日と製造所番号を記入し花火玉は完成となります。しかし、花火はまだ完成した訳ではありま せん。大観衆の前で打ち上げられて、大輪の花を咲かせ、夜空にフッと消えた時、花火は初めて完成したと言えるのです。





●MPEG・玉貼作業01(1739KB)/ ●MPEG・玉貼作業02(1739KB)/


観客の皆様のページに戻る