花火師は夏は忙しくて大変です。でもほかの季節は何をしているのでしょうか。このページでは一般的な花火師 の一年間をご紹介しましょう。花火の打上げは花火大会の裏方ですが、花火師の晴れ舞台です。この晴れ舞台はほんの一瞬 で終わってしまい、いつもの裏方に戻ってしまうのです。要するに花火師はいつも花火大会の裏方の裏方を演じているのです。




花火師の夏はおおよそ9月半ばで終わります。花火師の秋は夏取れなかった「夏休み」から始まります。1年で一番花火師が安らげる時間と いえます。でもその時間はあまり長くは続きません。秋と言えば運動会の季節です。運動会の花火は、朝6時ころの開催合図、9時ころの 開会合図、午後2時ころの終了合図などで構成されています。花火を討ち上げる数はさほど多くないので、仕事は大変ということはありませ んが、近頃は運動会が日曜日に集中し幾つもの運動会が同じ日になることがあります。花火の打ち上げは学校の先生にお任せすることは できませんので、花火師や花火打上げ従事者が出向くことになります。 花火を討ち上げる時間はだいたい同じですから一現場に一人が必要 になってくる訳です。ということで花火師は人の手配に頭を悩ますことになってしまいます。また、花火の数が少ないからといって気はぬけません。神経の 使い方は花火大会と同じです。

運動会や秋祭りの花火が終わると来年の夏への花火製造が始まります。




花火の製造は、ある意味で乾燥が重要なポイントになってきます。その為乾燥時期で雨の少ないこの季節は花火製造には適した時期といえ ますが、逆に乾燥し過ぎて静電気の発生が花火師の神経をとがらせます。花火の製造はその部品を作ることから始まります。部品には 花火の花びらにあたる星や、その星を飛ばす為の割薬、音を出す雷粒や笛などさまざまなものがあります。天気にあわせて部品を作ったり その部品を玉の中に組み込んだりしていきます。冬の花火大会が全然無い訳ではありません。大きい大会はあまりありませんが、冬場でも 花火大会は行われます。あまり忙しくないこの時期の花火大会で、花火師が日ごろ考えてきた新製品のテスト玉を打ち上げる事などもあり ます。
大晦日は冬のうちでも花火の多い日でしょう。年の開けるその瞬間にあわせて信号雷を打ち上げたり、カウントダウンにあわせて新年の花火を 打ち上げる遊園地などもあります。花火師は2年にまたがって仕事をしている事になります。もともと花火師は観客が楽しめる為に仕事を する訳で元旦から仕事をすることに文句をいう人はいません。

花火師のお正月は他の人と変わりませんが、花火師の多くは代々続いた家が多く日本古来の行事とかしきたりとかは割と考える人が多い ようです。当然30もある花火製造施設には1つ1つに安全を祈願して、お供えをします。1月2月はシーズンオフであり、この時期に 煙火協会の総会や事故反省会、研修会などがたくさん行われ安全な花火について、情報交換や勉強を怠りません。



色々な花が咲き出す頃になると、今年の花火大会の話も出始めます。花火師は今年の花火の数や種類が、夏の花火大会に間に合うのかを考え 始めます。今年の花火大会の構成や、新製品の使いかたなどからおおよその今年必要な花火玉の数を出すのです。昨年までの花火大会と同じ 構成ではお客様は満足しませんので、その辺まで頭に入れて考えます。それが決まると6月の梅雨までが花火製造の追い込みです。やはり乾燥 が重要な花火作りの要素ですので、天気については頭の痛い問題です。
5月の声を聞く頃、今年の花火大会について、花火主催者との具体的な打ち合わせが始まります。昨年の不具合やスムーズに出来なかった事 などを詳細に検討し、今年の花火大会では再発しないような対策を練っていく重要な打ち合わせです。昨年から打ち上げ現場の変更はないか。 周辺に新しい家が建っていないか。打ち上げ現場まで主催者と出向いて確認します。打ち合わせの基本が決まると、今度は火薬類消費許可 申請書の作成に取りかかります。都道府県の関係者や警察、消防の関係者などと安全について打ち合わせるのもこの頃です。
6月になりますと、多くの都道府県で年1度の花火業者への立ち入り検査が行われます。夏の忙しい時期を控えて花火工場の施設や火薬庫など を検査します。花火業者は火薬類を取り扱っているだけに、通産省の厳しい監督下におかれているのです。



最後の追い込みであるのに梅雨の雨に悩まされながら、何とか梅雨開けを迎えるといよいよ夏がやってきます。花火師の夏は突然やってきま す。梅雨明けから突然夏になるのです。およそ毎年、7月20日頃には梅雨明けになりますので、だいたいその頃から花火大会は計画されて います。近頃では、ほとんどの花火業者の工場で打ち揚げ準備を行い、現場ではあまり作業をしない様になっています。当然安全面から行なわれ ている訳ですが、その分工場の負担は大きくなっています。花火大会は週末がほとんどですので、それまでが打ち揚げ準備をする時間となります。 たとえば、土曜日に花火大会が実施されると、日曜は休んで(休めれば)月曜からは花火大会で使用した打ち揚げ筒を洗い、乾燥させたりします。 その後、次の花火大会の打ち揚げ準備となる訳です。
7月半ばから9月半ばまで、こんな事を繰り返して忙しい夏を乗り切るのです。花火大会の点火までは緊張で胃がいたくなる程で、花火大会終了 時点では腰が抜ける様な安堵感、この繰り返しで花火師の夏は肉体的にも精神的にもキツイ夏です。
シーズンが終わると、花火師の気持ちは夏を終えたという安心感と、しばらく花火を打ち上げられない寂しさが交錯する不思議な感じがします。 チョット「ボー」としている様な感じかな。

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